陥没乳頭
陥没乳頭とは、乳頭がバストに埋まりこんで、刺激しても出てこない状態のことを言います。
美容的に問題があることと、授乳に差し支えること、乳腺炎を繰り返す場合には、陥没乳頭治療を御案内しています。
陥没乳頭とは
陥没乳頭(Inverted nipple)は、乳頭が乳房の内側に埋没した状態を指します。発生頻度は5~10%程度であると考えられています。先天性の場合、9割近くは両側性ですが、片側のみの場合もあります。
陥没乳頭による障害
育児において子供に母乳を与える際、まず乳首を露出させる必要があるため、陥没乳頭の場合、授乳できないことが最も大きなトラブルです。また、乳頭付近を衛生的に保つことが出来ず、乳腺炎を繰り返す場合があります。更に、陥没乳頭の美容的な問題を気にされる方もいらっしゃいます。陥没乳頭のため人に見せられないと悩み、美容的面で陥没乳頭の修正を考える方もいらっしゃいます。
陥没乳頭の原因
陥没乳頭は、乳管の長さが足りないことに起因すると考えられています。乳管が比較的長くても、乳管周囲の組織が瘢痕形成を起こし収縮して、乳頭が陥没する場合が有ることも分かっています。
陥没乳頭の重症度分類
陥没乳頭は、重症度により以下の3つに分類されます。重症度が上がるにつれて、治療の難易度は高くなります。
- 1度 陥没乳頭を簡単に徒手的に突出できるが、暫くするとまた陥没してしまう。
- 2度 何とかピンセットなどで引き上げると突出させることができるが、離すと陥没する。
- 3度 手術によらなければ陥没した乳頭は出てこない。
2度、3度の陥没乳頭の場合、乳管を温存したままでの修正には、高度な技術を要することがあります。
陥没乳頭の重症度分類
- 乳頭の陥没により、授乳ができない。
- 乳腺炎を繰り返す。
- 乳頭が陥没していて、美容的に問題がある。
陥没乳頭の治療
陥没乳頭の治療は、メスを使わない治療法と、手術による治療法の二つがあります。
陥没乳頭の手術以外の治療法
メスを使わない治療法を、保存的療法と言います。軽症の陥没乳頭に対しては、メスを使わなくとも、長時間乳頭の吸引を掛けることで、陥没乳頭が改善できると考えられ、保存的治療が行われてきました。具体的には、これまでピアスによる牽引、母乳搾乳器による吸引が行われてきました。保存的療法は、持続的に吸引を行うことにより、乳管及びその周囲組織が引き伸ばされて、陥没乳頭が突出しやすい下地を作るという考え方です。最近、乳頭吸引器を小型・簡易化した「ピペトップ」という、乳頭のみを吸引・保持する提灯型の器具が考案されています。まだ評価は定まっておりませんが、軽症の陥没乳頭に対しては一定の効果があると期待されています。
陥没乳頭の手術法
保存的療法で改善が認められない場合や、重症の陥没乳頭の場合は、手術による陥没乳頭の治療が有用です。乳頭を引き出して、乳頭の付け根を切開して糸で固定する手術を行います。多くの場合キズ跡は、目立ちません。
乳管温存する陥没乳頭整復術
陥没乳頭で美容面だけが気になるという事であれば、乳管の温存は不要なことがありますが、陥没乳頭の方は、ほとんどの場合、術後の授乳を考えていることが多く、乳管温存手術が求められます。乳管を保存した陥没乳頭の整復手術は、温存しない手術と比べ困難となります。乳頭の根元を切開して周囲組織の剥離、切除などを行ったあと、Z形成術や巾着縫合などで固定する方法が用いられています。
乳管を温存しない陥没乳頭整復術
授乳の予定がなく乳管を切断しても良い場合は、乳管を切断して乳頭を引き出し、乳腺弁を翻転して納める、乳管を温存しない陥没乳頭整復術があります。主に美容的目的のために行われます。乳管を切断した場合、授乳ができないだけでなく、知覚異常や知覚消失がみられることがあるので、注意が必要です。
陥没乳頭手術のデメリットや注意点
- 手術したのに、乳頭が再度陥没することがある。
- 術後、乳頭の知覚異常を生じることがある。
- 乳管を温存しないと、術後の授乳が出来ない。
陥没乳頭の症例写真
陥没乳頭
28歳、未婚。陥没乳頭修正手術
陥没乳頭で悩んでいた症例です。美容的な問題と、出産しても授乳が難しいと考えて、仙台中央クリニックを受診していただきました。診察したところ、両側乳頭が乳房に埋まっていて、刺激しても突出しない状態でした。美容的にも不自然で、手術適応と考えられ、陥没乳頭の修正手術を行いました。手術後は平常時でも乳頭が突出し美容的にもバランスが良くなりました。友人と温泉等に行けるようになりました。
クリニックより:陥没乳頭は軽症の場合を含めると10人に1人程度と考えられています。決して稀な状態ではありません。陥没乳頭には、刺激すると突出してくる仮性陥没乳頭と、刺激しても乳房に埋まりこんでいる真性陥没乳頭の二つの場合があります。特に真性陥没乳頭の場合は、授乳できませんので手術適応になります。また、陥没乳頭の場合は、乳頭周囲の皮膚に雑菌が溜まりやすく、急性うっ滞性乳腺炎、急性化膿性乳腺炎、慢性乳腺炎になりやすく、炎症を繰り返す場合は、手術が勧められます。
陥没乳頭
24歳、未婚。陥没乳頭修正手術
刺激しても全く出てこないタイプの陥没乳頭のため、美容的に気になるという事と、将来的に授乳できないのは困るという事から、陥没乳頭手術をやろうと決心して御来院いただいた症例です。診察したところ、両側乳頭が乳房内に埋没し、引き込みが強く、刺激しても出てこない状態でした。陥没乳頭手術を行い、平常時にも乳頭が突出するようにしました。美容的に改善したため友達と温泉にも行けますし、将来的な授乳も可能になりました。
クリニックより:陥没乳頭で悩まれて御来院いただく方に、「治したかったのですがどこに行ったらいいのか分からなくてそのままにしていました。たまたまこちらのクリニックで治してくれると知ったので来てみました。」と言われることがあります。美容整形の中で、陥没乳頭手術は少ないために、情報が不足しています。陥没乳頭は修正可能なので一度相談されるのがよろしいかと思います。
両側陥没乳頭修正
22歳、未婚。陥没乳頭修正手術
両側乳首がバストの中に埋もれて刺激しても出てこないという症例です。将来授乳できるかどうか心配になり、陥没乳頭に取り組んでいる仙台中央クリニックを受診していただきました。友達と温泉等に行ったとき恥ずかしい、彼氏に見せられないなど、美容面でも悩んでいたようです。診察したところ、バスト内に乳首が完全に埋没して、引き込みが強く、乳頭を刺激しても突出しない状態でした。陥没乳頭手術により、引き込みを解除して、陥没を改善させました。きちんと乳頭が出たので美容的問題が改善し、更に授乳の心配がなくなりました。
クリニックより:陥没乳頭の手術は、美容外科領域で手術数が少なく、治したいけれど、どこに行けばいいのか分からないと言われることがあります。仙台中央クリニックでは、陥没乳頭の手術を行っており、御利用いただいています。陥没乳頭は、見た目などの美容面、授乳などの機能面、感染症などの衛生面などの多方面で、改善しなければいけません。仙台中央クリニックでは、スタッフ一同、陥没乳頭の治療に対しアドバイスさせていただいております。
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