ワキガ多汗症
ワキガ多汗症手術で大切なことは、初回手術でアポクリン腺、エクリン腺をきちんと除去し、症状を完治させることです。初回の手術が不完全だと、臭いや汗が再発し、再手術を繰り返すことになります。ワキガ多汗症の再手術は、時間が掛かり、難易度が高い手術です。仙台中央クリニックではワキガ多汗症の原因になる汗腺を完全に除去し、一度で、ワキガ多汗症を治癒させるという方針でワキガ多汗症治療を行っています。
ワキガとは
脇汗が多く、脇に汗染みが出来る状態を、多汗症と言います。脇から汗が流れ落ちるほど汗をかく場合もあります。脇の下に汗染みが出来る、脇の部分に黄色っぽい色が付く、などの理由で多汗症を治療したいという方に御来院いただいています。多汗症の方の中には、腋臭体質の方もおり、脇汗も多く、臭いもきついという方もいらっしゃいます。幸い多汗症は腋臭と同じ治療法により改善できますので、ワキガを治療すれば、多汗症の改善が期待できます。
多汗症とは
脇の下から刺激臭を発する状態をワキガといいます。部屋の中に、腋臭体質の方がいると、部屋中にワキガ臭が充満してしまうほど、強いにおいを発する場合もあります。
ワキガとは、脇の下の皮下にあるアポクリン線やエクリン線からの分泌物が、細菌により分解され強い臭いを生じると考えられています。もともと汗自体は無臭なのですが、アポクリン腺の汗に含まれる脂質やタンパク質、糖質、アンモニアなどの成分が皮膚表面に存在する常在菌により分解され、鼻につく独特のにおいが発生します。これに皮脂が混ざり合うと、臭いはさらに強くなります。腋臭症状が強い場合は、他人に不快な思いをさせることにより、手術要することがあります。
ワキガの原因
アポクリン腺は、誰にでも存在し、皮膚の裏側に粟粒のような形状で並んでいます。その数と大きさに違いがあるために臭いの強い人と、臭いのしない人が存在します。においの強い人は一般的にアポクリン腺の数が多く、ひとつひとつの粒も大きい傾向がみられます。数は生まれながら決まっており、大きさは男女ともに思春期、第二次性徴を迎える頃に大きくなります。年齢が進むと共に、ワキガ症状は、進行することが多く、自然寛解することは有りません。
ワキガ体質
臭いの強い人をワキガ体質と言います。ワキガ体質は常染色体優性遺伝により、親から子供に遺伝すると考えられています。そのため片親が腋臭体質の場合、50%の確率で子供が腋臭になります。両親が腋臭体質の場合、75%の確率で子供が腋臭になります。
ワキガ多汗症治療の適応
- ワキガ臭が強い。
- ワキガの臭いを他人に指摘された。
- 親がワキガ体質で、自分も思春期頃からワキガ臭がするようになった。
- 脇汗が多く、汗じみが出来る。
- 脇から汗が流れ落ちる。
ワキガ多汗症の治療
ワキガ多汗症の治療法には制汗剤による治療、切らない治療法と、切る治療の3つがあります。
制汗剤によるワキガ多汗症治療
腋臭症状が弱い方には、制汗剤やデオドラント剤が効果的です。薬局で制汗剤やデオドラント剤が市販されていますので、医療施設を受診しなくても自分で治療することができます。脇の下の汗をこまめに拭いて、清潔を保つことが重要です。しかしワキガが強く、臭いが強烈な場合、制汗剤やデオドラント剤で効果が無いことがありますので、注意が必要です。
切らないワキガ多汗症治療
ボトックスを脇に注射することにより、多汗症を改善させ、臭いも減らす治療が行われています。ボトックス注射は、手軽なので、仕事帰りやお昼休みに行う方もおられます。
脇に電磁波を当てて、ワキガ多汗症を行う治療法、ミラドライが近年開発されました。メスを使わない手軽さにより、選択する方がいらっしゃいます。料金的にやや高額であることと、1回の照射で症状を完全に取ることはできませんので、御注意いただきたいと思います。
切るワキガ多汗症治療
特に夏場で汗が多い時期に、部屋中がワキガ臭で充満し、部屋中の人が不快な思いをしている場合には、ワキガ手術が必要になる場合があります。脇の下を切開して、ワキガ多汗症の原因となる、アポクリン腺、エクリン腺を除去する治療法です。反転剪除法、シェービング法、吸引法などが知られています。
反転剪除法(切開法)
反転剪除法とは、脇の下に切開を加え、皮膚を反転し、皮下のアポクリン腺、エクリン腺を目視化に手術用の鋏で切除することにより、ワキガ多汗症の治療を行う方法です。技術的には比較的容易な手術ですが、一つ一つの汗腺を除去する必要があるために、時間がかかります。稚拙な手術操作により腋臭手術を行った場合、再発することがありますので、経験豊富な医師にお願いする必要があります。
反転切除法(切開法)の利点
- 反転剪除法(切開法)は、きちんと行えば、ワキガ多汗症の抑制が得られる方法です。
- 多くのクリニックで手術は、行われています。
反転切除法(切開法)のデメリットや注意点
- 不馴れな操作により治療が行われると、再発の可能性があります。
- 術後1週間程度、脇の固定を要します。
- 安静を保てない場合、術後出血の危険があります。
反転剪除法について教えてください
シェービング法
シェービング法とは、専用の機器を用いて、脇の下のアポクリン腺、エクリン腺を削り取るワキガ多汗症治療です。脇の下を切開して、専用のカミソリ状の器具を皮下のスペースに挿入します。皮膚を挟み込むようにして、皮下のアポクリン腺、エクリン腺を除去します。特殊な道具を扱うため、技術力が要求されます。シェービング法に慣れている医師が手術を行った場合には、手術時間は短縮されます。腋臭の根治率も切開法に比較し、高くなります。再発したくないという方に適応する方法です。
シェービング法の適応
- ワキガ多汗症をきちんと治したい。
- 再発したくないので完治を目指したい。
シェービング法のデメリット
- 技術を要し、引き受けてくれる医師が少ない。
- 術後固定を要す。
- 稀に術後出血をきたすことがある。
シェービング法症例写真
39歳、女性。腋臭多汗症、シェービング法
年齢と共にワキガ症状が少しずつ強くなってきたということで仙台中央クリニックを受診していただいた症例です。診察したところ、脇に汗が多く、腋臭特有の刺激臭がありました。再発なく完全に腋臭を無くしたいということで、シェービング法による腋臭手術を行いました。手術後から腋臭症状は無くなり、再発も認められておりません。
クリニックより:再発したくないというか方に対し、シェービング法は有益な手術です。特殊な器具を脇の皮下に挿入して、腋臭の原因となるアポクリン腺、エクリン腺を一塊として除去します。汗腺の除去率が高くなりますので、完治率も高くなります。シェービング法の利点は、手術直後からワキガ臭が無くなることです。汗も減少しますので、ワキガ多汗症に有益です。
36歳、男性。ワキガ多汗症のシェービング法
以前からワキガ多汗症に悩んでいた男性症例です。同僚から汗臭いと指摘されることがあるために、手術を決意され、仙台中央クリニックに御相談いただきました。両脇の腋窩部は広く、ワキガ臭と多汗が認められました。再発なく治療したいという御希望から、シェービング法による腋臭多汗症治療を行いました。手術直後から、臭いや多汗が無くなり、快適になりました。
クリニックより:男性の方でも腋臭多汗症に悩んでいる方は多くいらっしゃいます。ワキガの強い臭いで同僚に迷惑をかけることや、脇に汗染みが出来て見栄えが悪いことを、気にされるようです。男性でも腋臭多汗症の手術を受ける方は多くいらっしゃいます。手術直後からワキガ多汗症の症状は無くなります。
シェービング法について教えてください
ワキガ多汗症再発
ワキガ多汗症治療の最も大きなトラブルは、ワキガ多汗症の症状が再発することです。手術後しばらくの間は、腋臭や多汗症の症状が改善したのに、期間をおいてまた症状が出てきた、手術したのにワキガ多汗症の症状が変わらないと、御相談いただいています。仙台中央クリニックではわきが多汗症の再発手術をお引き受けしています。
ワキガ多汗症再発の原因
アポクリン腺やエクリン腺は、きちんと摘出が行われれば、手術後増殖することはありませんので、再発のほとんどは、初回手術時の、アポクリン腺やエクリン腺を取り残しが原因となります。再発手術は、初回手術と比較して難易度が高く、時間もかかります。腋臭や多汗症を完全に治したいのであれば、再発したら再度手術しようという安易な考えではなく、初回手術から完璧に汗腺の除去を行うことが大切です。
保険によるワキガ多汗症手術
保険でわきが手術を行った方の再発手術の御相談を受けることもありますが、保険の手術はあくまでも、日常生活が困らないというレベルに臭いを減らす手術であることを理解する必要があります。保険では、完全に臭いを取るという考えで、腋臭手術が行われていないこともあります。臭いを完全になくしたいという方は、手術が行わる前に、担当医によく確かめておく必要があります。
ワキガ多汗症再手術の手術適応
- ワキガ多汗症が再発した。
- ワキガ多汗症手術をしたが症状が変わらなかった。
- ワキガ多汗症手術後、少し良くなったが、症状が残っている。
ワキガ多汗症再手術の実際
- ワキガ多汗症が再発した場合、再手術を行うことは可能ですが、非常に難易度が高くなります。初回手術で完治を目指し、しっかりと治療を心がけることが重要です。
- 再手術においては、取り残したアポクリン腺、エクリン腺を硬い繊維組織が取り囲むために、切除し難くなります。完全に除去するためには、時間と技術を要します。
吸引法
吸引法とは、ワキガの原因となるアポクリン線やエクリン線が、皮下の脂肪組織にあるということから、皮下の脂肪を脂肪吸引して汗腺除去するという考え方に基づいて行われているワキガ多汗症治療です。数ミリの孔から皮下の汗腺を吸引します。手軽な方法で手術後の傷の回復が早いという利点があります。包帯や固定も必要なく、当日からシャワー可能です。
吸引法ワキガ治療の利点
- 手軽な治療で、手術時間は10~20分程度です。
- 数ミリの切開から治療できます。
- 術後の固定が不用です。
- 術後安静を要しません。
吸引法のデメリットや注意点
- 吸引法による、ワキガ多汗症抑制効果は。一時的なことが多く、高い確率で再発しますので永久な効果は期待できません。
- 吸引法で手術後、再発して再手術をされる方が多いことを知っておく必要があります。
- 仙台中央クリニックでは特別な場合を除きあまりお勧めはしておりませんが、再発する可能性が高いことを充分理解したうえで手術を希望されるのであれば手術可能です。
吸引法について教えてください
脇ボトックス注射
ワキガ多汗症の方で、手術に抵抗がある方には、ボトックス注入による治療法があります。ボトックスを脇に注射して、汗を減少させる治療です。主に多汗症を改善しますが、ワキガの症状の改善効果もあると考えられています。脇だけでなく手掌、足の多汗症にも有効です。
所要時間は3分程度です。ダウンタイムはほとんどなく、治療した日から普通に日常生活が可能です。お試し的にやってみたい方に好評です。
脇ボトックス治療の詳細
- 脇の下にボトックスを注射する簡単な方法です。
- 脇の下を消毒します。
- 数か所に分けて、ボトックスを注射します。
- 針を刺すときにチクチクとした痛みがあります。
- ほとんどの方が耐えられる痛みです。
脇ボトックスの適応
- 汗が多い。
- 脇に汗じみが出来る。
- 脇から汗が流れ落ちる。
- 切らない治療で脇汗を止めたい。
- 手軽な方法で、汗を止めたい。
脇ボトックスについて教えてください
手掌ボトックス、足ボトックス
手掌ボトックス、足ボトックスとは、脇ボトックス治療を、手掌や足に応用した治療法です。手汗が酷い、足汗が酷いという方に有益です。一定期間汗を減らすことができます。長期間に渡り汗を減らすために、ボトックスの追加が必要になります。暑い夏場の時だけボトックスを使うという方もおられます。
手掌ボトックス、足ボトックスの適応
- 手汗が酷く、ハンカチが手放せない。
- 手汗により、書類などが濡れてしまう。
- 足汗が酷く、靴下が濡れる。
- 足汗が酷く、臭いがきつい。
手掌ボトックス、足ボトックスの注意点
- ボトックスを入れ過ぎると、筋肉が委縮して筋力低下を起こすことがあります。
ワキガについて教えてくださいQ&A
ワキガの原因について / 腋臭手術をした方がいいですか / 腋臭手術の詳細 / 反転剪除法について / シェービング法について / ミラドライについて / 脇ボトックスについて / 吸引法について / 腋臭手術の後遺症について
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