切開法は一度行うと二重のラインが安定し、戻らないことが知られています。しかし切開法後、時にラインが戻ることがあり、他院修正手術を希望して御来院いただいています。このページでは、切開法を行ったのに何でラインが戻るのか、戻らないためにはどうしたら良いかを、仙台中央クリニックで行った症例を供覧して検証していきたいと思います。
切開法のラインが戻る原因は、主に以下の2つが考えられます。その一つは、切開法で二重を作製した際に上まぶたの内部処置が不十分であった場合です。もう一つは、ライン設定位置が不適切であった場合です。どちらの理由により戻ったかによって再手術の際の方法が変わってきます。そのために、ラインが戻った場合、まずその原因を究明する必要があります。
二重とは、上まぶたの皮膚が眼瞼挙筋や瞼板と線維性連絡を持ち、開眼するときに上まぶたの皮膚が折れ込まれる状態を言います。ですから二重手術は、上眼瞼皮膚と眼瞼挙筋システムの間に線維連絡を作製する手術になります。切開法で上まぶたの内部処置が不十分であり線維性連絡が作製されていない場合、二重が戻ってしまうことになります。ラインが全くなくなることもあります。再手術の際には再度線維性連絡をきちんと作製することが必要になります。比較的簡単な手術になりますので、多くのクリニックで引き受けてもらえる可能性が高いと考えられます。
二重のラインが、不自然な位置、無理な位置に設定すると、ラインの食い込みが不自然になり、二重が戻ることがあります。ラインは全く戻ることはなく、浅く淡く残ることが多いのが特徴です。この場合、ラインの設定からやり直して、ラインを安定させることが必要になります。これが原因の場合、再手術は難易度が非常に高くなります。手術を引き受けてくれる医師は少数になります。安易に引き受けてもらい、再手術しても状態が変わらないということも起こり得ますので、手術をお願いする場合は十分注意が必要です。
21歳、男性。切開法のラインが戻った、浅くなった
大手美容外科にて4年前に二重埋没法を行ったもののラインが戻ってしまい、2カ月前に二重切開法を行った症例です。二重切開法を行っても、早期にラインが戻り、前医に相談したところ、「希望通りになっています。6か月は様子を見てください。」と言われ取り合ってもらえなかったということで、仙台中央クリニックに御来院いただきました。両側のラインは浅くなっており、特に右は取れかかっていました。また目の開き方が不十分で、視野を確保するために、眉に力が入っている状態でした。二重のライン設定に無理があると考えられたために、ラインを少し下げてラインを再設定して、安定した二重を作製しました。ラインはくっきりと自然になり、目も自然に開くようになりました。
クリニックより:二重切開法は一度行うとラインは戻ることが無いと言われています。しかし、切開法を行ってもラインが戻ることがあり、他院修正手術の御相談をいただいています。切開法のラインが戻った場合、その原因を究明し、適切な手術を行わないと、再手術を繰り返す羽目になります。特にラインが浅く残っている場合は、ライン設定に無理があることが多く難易度が高くなるために注意が必要です。また本症例は切開法後、2か月目の早期に再手術を行いました。切開法後3~6か月を経過しないと再手術できないと信じている方が多いのですが、むしろ早い方が修正は容易です。早めの御相談をお待ちしています。