豊胸注射とは、豊胸用の組織充填剤をバストに注入することによって胸を大きくする手術です。近年、サブQ、ハイヤコープ、アクアフィリングなどの高品質の充填剤が開発され、短時間で豊胸注射を行うことが可能になりました。非常に短時間で終了すること、ダウンタイムが少なく手軽であること、大掛かりな手術設備が不要なこと、注入技術的が容易であることから、豊胸注射は多くの施設で行われています。
アクアフィリングは、最近開発された豊胸用の組織充填物質です。98%の水分と2%のポリアミドで構成されています。アクアフィリングは、注入するだけで簡単に豊胸効果が得られる、豊胸効果は3-8年持続する、柔らかく自然な感触になる、2カップ程度まで大きく出来るということを謳っており、豊胸注射に多く用いられるようになりました。アクアフィリングは、ヒアルロン酸豊胸と比較して、しこりになることが少ない、もし注入後に取り出したくなった場合も、生理食塩水を加えることで粘性が低下するため、容易に体外に排出することが可能であると、副作用が少ないことが宣伝されています。
豊胸注射をしたものの、もう少し胸を大きくしたいという方は多くいらっしゃいます。基本的に注入量が足りませんので、再注入していただくことになります。注入量が多くなって費用が高額になる場合には、シリコンバッグの挿入をした方が格安になることがあります。そのため元々大きな胸を希望されている場合には、二度手間になりますので最初からシリコンバッグを考えたほう良いと考えられます。
豊胸注射を行った部位が硬くなったり、ゴツゴツしたりすることがあります。注射した周囲に組織被膜が形成されることによって起こります。簡単に溶ける場合は、問題ありませんが、周りに被膜が厚く、しこりになっている場合には、切開して除去する必要があります。この場合は、難易度の高い治療になります。
豊胸注射の注入方法が悪いと、いかにも整形したような不自然な胸になることがあります。胸の形の修正が必要になりますので、本人希望を詳しく伺ったうえで、綿密な治療計画が必要になります。
28歳、女性。アクアフィリング豊胸失敗、他院修正再手術
2カ月前に大手美容外科でアクアフィリング注射を行ったものの、硬くゴツゴツしている、大きさをもう少し大きくしたいということで、他院修正を希望された症例です。診察したところ、注入したアクアフィリングは、硬くしこりになっており、胸の形も歪で左右差がありました。本症例に対しては、アクアフィリング除去、シリコンバッグ挿入が適当と考えられました。切開創から、前医で入れたアクアフィリングを除去して、しこりを無くし手触りをスムーズにした後に、シリコンバッグを挿入して、自然で大きな胸を作製しました。
クリニックより:アクアフィリング豊胸をしたものの、希望通りでないということで、修正手術の御相談をいただいています。最も多いのが、もう少し大きくしたいというお悩みです。再度追加注入することも出来ますし、シリコンバッグを入れることも出来ます。しこりになり硬くゴツゴツしている場合には、切開して除去する必要があります。多くの場合で修正手術は可能ですが、修正手術は難易度が高い治療になりますので、出来るだけ再手術をしないよう、初回手術から経験豊富な医師に治療を依頼する必要があります。