ストレスにより薄毛が進行することが知られるようになりました。過剰なストレスがかかると、自律神経やホルモンバランスが崩れ、頭皮環境が悪化し、毛根に栄養や酸素の供給不足を引き起こします。髪を成長させる司令塔の毛乳頭が働かなくなり、髪が十分に成長する前に抜け落ちて、健康的な髪が生えてこなくなります。ストレスから薄毛になり、その薄毛がストレスになるという悪循環に陥ります。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、バランスを保つことで、健康的な日常生活が得られます。副交感神経は身体をリラックスさせる役割がありますが、ストレスを受け続けると交感神経が興奮し、緊張状態が続き、血流の悪化や睡眠不足などが起こります。血流が悪くなると髪の成長に必要な栄養が頭皮まで行き渡らなくなります。また、自律神経の乱れは睡眠不足にも繋がります。睡眠不足は寝ている間に分泌される成長ホルモンに影響が生じ、髪の毛の成長が不良になり、抜け毛や薄毛が進行します。
ストレスはホルモンバランスの乱れを引き起こします。特に女性は、女性ホルモンが不安定になると、髪の成長に欠かせないエストロゲンが減少し、相対的に男性ホルモンの割合が増加します。男性ホルモンはヘアサイクルに大きく影響を及ぼす因子の一つで、毛母細胞の発育を阻害し、毛髪が生育しなくなります。
朝起きたら枕に多くの抜け毛が落ちている、シャンプーやブラッシングで束になって髪の毛が抜けるなどの状態は、精神的な強いストレスを生じます。なぜ抜け毛が増えるのか、このまま抜け続けていくのかと不安に感じ、悪循環に陥ることも有ります。1日に100本程度は抜けるのは、正常ですが、200本以上抜けている場合は異常な抜け毛が起きている可能性が高いので、早期に専門クリニックに相談することをお勧めします。
ストレスがきっかけで免疫系が正常に機能しなくなることがあります。正常の免疫系は、体内にウイルスや細菌などの異物が入ってきた際にのみ免疫細胞が異物を攻撃しますが、強いストレスを受けると免疫細胞が、自分の身体を攻撃してしまうようになります。攻撃のターゲットとして毛根を包む組織が狙われることで、抜け毛が発生し、薄毛が進行します。
26歳、男性。小児期に発症した薄毛、薄毛治療
症例経過:小児期に薄毛が発症し、進行した症例です。友人から薄毛をいじられることがあり、コンプレックスに感じていました。20代からは抜け毛が急激に増え、頭頂部は頭皮が見えるまでに進行したために、仙台中央クリニックに御相談いただきました。頭頂部および前頭部に薄毛領域が認められ、小児期の薄毛に効果的と考えられるハーグ療法を開始しました。治療開始後、抜け毛が減り、発毛が認められ、頭皮の透けが目立たなくなりました。
症例解説:薄毛が小児期から現れ、重症化することがあります。遺伝やストレス、自己免疫異常、ホルモンバランスの崩れなどが起因していると推測されています。薄毛が進行する場合には治療を講じることが重要です。ハーグ療法が開発され、小児期に発症した薄毛に対して効果が知られるようになっています。治療と伴に、抜け毛が減少して毛髪の再生が認められます。早期治療を行ったケースで高い治療効果を認めることが多く、早期診断、早期治療が重要です。注射する際に痛みのリスクがあります。